ボツ原稿 その1 帰ってきた土曜日の実験室
「刑事ドラマの怪」
(960620執筆)
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│「ラクダのグーグー」
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│ 夜中に目をさまして、ジョウはつぶやきます。
│ グーグーはどこに行っちゃったんだろう?
│ 長い睫、ふわふわした背中、暖かかった鼻息。
│ どれもが懐かしく、また哀しく思い出されるばかりです。
│ 哀しくて、哀しくて、もう二度と眠れなくなるのが怖くて、
│
ジョウは一所懸命目をつぶると、今度は声を出さないで、
│ 心の中でつぶやきます。
│ グーグーはきっと、すぐそばにいるんだ。
│ ぼくに見つけてもらうのを、ずっと待っているんだ。
│ ジョウの寝顔にキスをしながら、ママも心の中でつぶやきます。
│ かわいそうなジョウ。
│ あなたの大好きなグーグーは、こんなに近くにいるのに。
│ そして、やさしく毛布をかけ直します。
│ 真新しい、ラクダの毛布を――。
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さて、最近、刑事ドラマに元気がありません。
テレビ化されるサスペンスドラマは、ほとんどが刑事ではない人間が探偵役となって、事件を解決するというものばかりです。
これではいけません。
なぜ刑事が事件を解決しないで、別の職業の人間が事件を解決してしまうのでしょうか?
探偵なら、まだ許せます。
でも、何が悲しくて、ミーハーの家政婦や、ベテラン看護婦や、温泉旅館の仲居クンが事件を解決しなくてはならないのでしょうか?
ちなみに香取クンも全裸で事件を解決していますが。
私はここに、魅力ある刑事のキャラクターを提案し、刑事ドラマの復活を強く希望します。
まずは「ハゲ刑事」「チビ刑事」「デブ刑事」。
この三人は、常にトリオを組んで行動します。
危険が迫ると合体して「三低刑事」になります。
事件解決の暁には新橋に飲みに行き、駅前でワイドショーのレポーターに、
「すいません、"チョベリバ"って知ってますか?」
と、インタビューされて振り返った顔がポーズとなり、『終』の文字がかぶさると、理想的です。
それから「ボケ刑事」。
まじでボケてます。
張り込み中に、ねまきで徘徊しちゃったりします。
おかげで警察に厄介になったりしますが、
「バカモノ、犯人に気付かれないのための変装だ!」
などと、ボケにボケを上塗りしたりするので、まったく手に負えません。
あと「刑事スケバン」というのも、インパクトがあります。
「スケバン刑事」が、スケバンが刑事になってしまったという設定なのに対し、「刑事スケバン」は、刑事がスケバンになってしまったという設定です。
しかも四十歳で独身の、鈴木英夫巡査部長がです。
ただの女装趣味のオヤジと言ってしまえば、身も蓋もありませんが。
このほかにも「泣き虫刑事」とか、「ひのえうま刑事」とか、「メキシコ人刑事」といった珠玉のキャラクターも考えたのですが、誌面の都合により割礼させていただきました。
イテテテテ。
●注●
これは編集者から、
「デブはいいのですが、ハゲとチビはまずいので、書き直して欲しい」
ということで、ボツになったものです。
「どこがまずいのでしょうか?」
と、聞いたところ、
「編集長がそう言ってます」
と、言われました。
ちなみに当時の編集長は、Uさんです・・・ここ、笑うところですから。
ボツ原稿 その2 帰ってきた土曜日の実験室
「呼称の怪」
(960820執筆)
夏バテのせいか、思うように筆が運びません。
もしや、才能が枯渇してしまったのでは!
枯渇に入らずんば虎児を得ず
今宵の枯渇は血に飢えている
枯渇孔明新聞
静かな湖畔の森の陰から
「もう起きちゃいかが」と枯渇が鳴く
枯渇、枯渇、枯渇枯渇枯渇
なーんだ、結構冴えてるじゃん!
さて、先日「悪魔クン」のパパが捕まりました。
しかし、どんなに悪いことをしても、やっぱり彼の呼び方は「悪魔クンのパパ」以外にありません。
この人は、仮にどんなに偉くなっても、大金持ちになって長者番付に載ったとしても、やっぱり「悪魔クンのパパ」以外の呼称はないのです。
そういえば、未だに長者番付の職業欄に「さくらももこの夫」とか、「ビートたけしの妻」という紹介がつきますが、この人たちも、永遠にこの呼称から抜け出せないのでしょう。
そんなわけで、今回は一度はまったら抜け出せない、呼称の恐怖についてお話ししましょう。
ハッ、ハッ、ハックション!
で、おなじみの、ハクション大魔王ですが、「ザ・○ニーカー」編集部にいた○内くんは、あることがきっかけで、「ファッション大魔王」と呼ばれるようになりました。
それがなぜかは、彼の名誉のために、口が裂けたら痛くて言えません。
ある年代以上の人は、電子レンジのスイッチを入れることを「チンする」と呼びます。
この略し方は、「ベル打つ」と非常に似ていて、しかも非常にわかりやすいですね。
あと、ホチキスで留めることを「ガチャンする」とも言いますが、これはあまりポピュラーではなく、紙の束を持っていたり、コピー機械の前にいたりしないと成立しません。
コップを持っている人や、車を運転している人に「ガチャンして」などと頼んだ日には、猪木がいくら勝っても足りません。
ちなみに、ホチキスの中身は「針」とも「弾」とも「芯」とも言いますが、あなたは何派?
あと、「ガチャガチャ」ですが、本当の名前を誰も知りません。
何か今回は捨て身のギャグが多〜い中村君だな。
捨て身のもんた
なーんだ、結構イケルじゃん。
●注●
これは私の判断で、ボツにしました。
理由は面白くないからです。
自らの戒めのために、あえて掲載しました。